【特別版】肉蝕の生贄

肉取引の罠に堕ち、淫鬼に饗せられる美都子。
オーナーから転落した令嬢を待つ被虐の日々。
昼夜の別なく肉奉仕を強制される地獄地下室。
マゾの愉悦を覚えた23歳は運命に逆らえず……
フランス書院文庫 生贄・魔姦地獄 1992/12
フランス書院文庫 生贄・淫虐痴獄 1993/09
フランス書院文庫 生贄・性蝕の極印 1994/11

フランス書院文庫三部作を底本に新書上下巻
ハードXノベルズ 肉蝕の生贄(上) 被虐花・美都子 2005/07
ハードXノベルズ 肉蝕の生贄(下) 淫霧にけぶる逃避行 2005/07

ハードXノベルズを底本にした文庫版
フランス書院文庫X 【特別版】肉蝕の生贄 2023/10

城戸美都子きどみつこ 城戸珈琲オーナー 23歳
星島百合ほしじまゆり 城戸珈琲ウエイトレス 18歳
純子じゅんこ 人妻 28歳
これまで文庫三冊、それをまとめた新書版二冊で刊行された生贄シリーズを文庫一冊に纏めたものになります。
 特別版と銘打たれていますが、中身に加筆修正などは行われておらず、単純に1992年に刊行されたものが30年ぶりに復刻されているだけでした。
 凌辱女子学園などと違い、旧文庫版が電子書籍で入手できるので復刻と言われてもあまりありがたみもなく、一冊に纏められていることと表紙絵が自分好みという以外にはわざわざ買う価値はありませんでした。
 むしろ完全増補の望みを絶たれたという意味では厳しい一冊w
 
 自分は生贄シリーズが綺羅作品の中で一番好きなのですが、これはあくまでヒロインである城戸美都子の評価と言ってよく、筋立て、というよりせっかく面白くなりそうな設定のほとんどが使い切られていなかった感もあって一つの読み物としてはガッカリ感の強い作品でもあります。
 
 美都子の元女番長という設定も活かされていたのは序盤で美都子を姐さんと慕う若者に犯されたくらいで、それもレズの百合が美都子を手に入れるための駒の一つとなるはずが百合自体の存在が逃避行編で六郎を嵌める役回りで美都子とは関わりがなくなってしまっています。
 地上げ計画の邪魔者としての美都子も、確かに大鷹組の娼婦に堕とされたことで計画は一気に進んではいるのですが、それを美都子が気にした様子もないのであまりぱっとしません。
 なにより美都子が祖父から遺された城戸珈琲がピンサロ紛いに変えられたことへの心情が描かれませんでしたし、娼婦に身を堕としても守ろうとしていたはずが逃げ出してしまう弱さになってしまったのは興醒めです。
 それに地上げ計画の黒幕、小松原との因縁もなくなっています。
 連載雑誌の移動という不運が重なったとはいえ、勿体ない設定でした。

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