性蝕の極印編
1994年11月、前作、淫虐痴獄からじつに一年以上を経て、いよいよ最終巻、性蝕の極印が刊行されました。
書店で11月発売予定表の中からフランス書院の発刊予定を毎月のように確認しては、綺羅光先生の名前こそあれ、生贄の題は見つけられず首を垂れていた毎日でした。ちなみに、予定表では生贄・謝肉祭という仮の題名が付けられてました。
謝肉祭。
個人的にはこちらの方が好きだったのですが‥。
さて、事前の仮題の変更で嫌な予感もあったのですが、正直に言います。
この最終巻は期待外れでした。
とにかく気性が激しく小生意気で勝気で世間知らずで、しかし正義感にあふれ、美しい大鷹市の伝説とまで言われた美都子を、その大鷹市を食い物にしようとする下衆なヤクザどもの慰み者にされてゆく過程を見たかったのです。
その伏線も散りばめられていました。
序盤のテレビマンたち。
ウエイトレスの百合。
地上げの黒幕、小松原。
信頼する六郎の裏切り。
性蝕の極印では前回の売春から心をずたずたに引き裂かれた美都子が、もはや祖父の面影を遺さない城戸珈琲を見限り六郎と逃避行をする展開から始まります。
あれだけの想いを込めていた城戸珈琲を見捨ててしまった美都子に、読者としては落胆の思いが隠せなかったのが本音でしたし、それは同時に鷹尾組への借金も放棄したことになります。
美都子という一本筋の通った女番長への失望もありました。
それなら最初から城戸珈琲も大鷹市の土地開発も投げ出していれば、あんな目に遭うこともなかったのですから。
魔姦地獄、淫虐痴獄とで美都子を鷹尾組に逆らう馬鹿な小娘と評していたのはこのせいです。
例え鷹尾組の、ひいては黒幕小松原の手のひらで躍っているとしても、美都子には城戸珈琲のために、大鷹市の為に戦い続けて欲しかった。
謝肉祭という仮題を見た管理人の中での美都子は千野によってマゾ性を開発され続け、小松原の策略で地上げに協力するように市長にまで体を売らされ、その様子を因縁のテレビマンたちに撮られて大鷹市の裏切り者の烙印を押され、そしていよいよ運命の日。
目隠しをされ誰かもわからない相手と売春に怯えながらも、千野に開発されたマゾ性は美都子を天国へ連れてゆき、いよいよ目隠しを外された美都子の目の前には信頼していた六郎の姿が。
錯乱する美都子に最愛の富樫を間接的に殺したのも、鷹尾組と手を結び偽の借金を作ったのも六郎の仕業だと全てのからくりを知らされ、美都子が慟哭するのを千野たちが笑い合う。
といった妄想をしておりました。
六郎はまあ、あとで殺されるんだろうなと。
この辺りは本編でも果たされましたね。
もちろん性蝕の極印の最後も悲惨の一言で、逃避行の中、愛を誓った六郎こそは自分をこの地獄に叩き落とした告げられ、失意の中で再び千野にマゾの血を思い出されて挙句に、六郎殺しの罪まで着せられ、大鷹市へ戻れば逃亡の罰として朝から晩まで娼婦として顔馴染みの男どもに身体を売り続ける。
この終盤の下りはよかったです。
肝心の逃避行と最後の最後、大阪ヤクザとの下りが余分だったかな、と今でも思ってしまいます。
コメント